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大腸内視鏡検査を受けましょう! ~早期発見・早期治療で「がん」を撃退~ 前編

交雄会新さっぽろ病院 消化器内科/内視鏡内科 青木 敬則


当院では病気や検査に関することをみなさんに知っていただくことを目的として、当院医師が持ち回りで「ブログ」を始めることになりました。今回は大腸内視鏡検査・治療について書いていきたいと思います。

ただ、大腸内視鏡検査・治療と言っても奥が深い内容となりますので、「前編」と「後編」(2025年初旬予定)に分けてお話していきたいと思います。


大腸内視鏡検査は一般的に「大腸カメラ」と言われていますが、みなさんの中には大腸カメラについて色々と心配になることがあると思います。例えば、「痛くなるのが心配」、「検査を受けるのが恥ずかしい」、「お金がかかりそう」、「病気が見つかったらどうしよう」、「腸の中をきれいにするのが大変そう」、などと思ったことはないでしょうか? また、大腸カメラについて、「なぜ検査をしなければならないの?」、「どういう場合に検査を受ければいいの?」、といった疑問を持たれている方もいらっしゃるのではないかと思います。

そのような心配・疑問に対して少しでも解決できるようなお話をしていきたいと思います。



1. なぜ大腸カメラを受ける必要があるのか?

この疑問に関して、私はおもに3つの理由があると考えています。


① 症状がなくても、大腸カメラで見つかる病気がある

② 大腸検査の中で唯一検査と治療を兼ねることができる

③ 大腸がんが増えてきており、早期に発見すると治る可能性は高くなるが、放置すると命に関わる


特に③に関しては、ぜひみなさんに覚えておいていただきたいことです。

それでは、3つの理由について順番に説明していきたいと思います。



① 症状がなくても、大腸カメラで見つかる病気がある

大腸カメラで見つかる病気は、図1に示す通りたくさんあります。その中で、ピンク色で書かれている病気は症状なく見つかることもあります。もちろん大腸がんも例外ではありません。つまり、症状がないから病気がないとは言えないのです。




② 大腸検査の中で唯一検査と治療を兼ねることができる

大腸の代表的な検査として以下の4つの検査が挙げられます。

  • 注腸検査 (バリウム・ガストログラフィン)

  • CTコロノグラフィー (3D-CT)

  • 大腸カプセル内視鏡

  • 大腸カメラ (大腸内視鏡)


これらの検査の中で、注腸検査、CTコロノグラフィー、大腸カプセル内視鏡は病変を指摘できるものの、切除できないという欠点があります。一方で大腸カメラは病変が見つかったら、検査中に治療が必要かどうかを判断して切除することが可能です。つまり、検査と治療を兼ねることができるということになります。



③ 大腸がんが増えてきており、早期に発見すると治る可能性は高くなるが、放置すると命に関わる

この記事を読まれている方の中には御存知の方もいらっしゃると思いますが、日本の大腸がん罹患(がんと診断される)数と死亡数はそれぞれ図2に示すように、罹患数が全体で1位、死亡数が全体で2位と非常に多いことがわかります。また、図3の日本の大腸がん罹患数と死亡数の年次推移を見ても、罹患数、死亡数ともに年々増加しています。この結果からも、いかに早くがんを見つけて治療するかが大事になってきます。

では、大腸がんの進行度別に見てみるとどうでしょうか?図4は大腸がんの進行度を示すステージ(病期)分類とステージ別5年生存率を示していますが、ステージの数字が小さい段階であれば5年生存率が高いことがわかります。つまり、大腸がんは早い段階で発見して治療することにより治る可能性が高くなる病気であり、大腸カメラを受けて病気がないことを確認することが大切である、ということが言えると思います。








2. どういう場合に大腸カメラ受けた方がよいのか? (適応)

では、大腸カメラの適応はどのような場合でしょうか? 私は下記の2つのいずれかがある場合に受けた方が良いと考えています。


【次のような症状が続く場合】

  • 血便・下血

  • 貧血

  • 腹痛・腹部膨満感 

  • 便秘・下痢といった排便習慣の変化

  • 便が細くなる 

  • 残便感     など


【症状がなくても、大腸がん検診で異常を指摘された場合】

  • 便潜血検査


上記症状を有する場合に大腸カメラを受けていただくことはもちろんですが、便潜血検査で陽性となった場合もカメラを受けていただくことが望ましいと考えます。便潜血検査とは、便の中に血液が混じっているかどうかを調べる検査であり、主に大腸からの出血の有無を確認するものです。厚生労働省の報告によると、令和3 (2021)年度に自治体が実施した大腸がん検診を受けた人の中で、要精密検査(陽性)となった人の割合は5.44%であり、要精密検査(陽性)となった人の中で、大腸がんと診断された人の割合は2.85%でした (ただし、精密検査受診率は69.9%)。つまり、便潜血陽性=大腸がんではありませんが、大腸がんが見つかる方がいることは証明されていることから、精密検査(特に大腸カメラ)を受けることは大切であると言えると思います。実際に、日本の対策型大腸がん検診の流れとして、40歳以上の方には便潜血検査(2日法)が推奨され、1日でも陽性となった方は全大腸内視鏡検査が第一選択とされています。


以上、今回は大腸カメラを受ける理由とその適応について説明しました。大腸カメラを受けようと考えている方や受けることに躊躇されている方のお役に少しでもなれば嬉しく思います。次回 (後編)は、大腸カメラを受ける前の準備 (前処置)、大腸カメラを用いた検査の実際 (挿入法・観察法)、大腸カメラを用いた治療、についてお話する予定です。


次回もお楽しみに!



当院では苦痛の少ない検査を心掛けた大腸内視鏡検査を行っております。検査を受けようと考えている方や検査を受けるか迷われている方もお気軽に当院まで電話またはホームページより御相談下さい。




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